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〜地球1つ分の生き方〜安曇野ニノ段

長野県で最後に向かったのは再び『安曇野市』。
前に伺った、シャロムヒュッテの創業者でもある臼井氏の拠点、ドネーションで運営するゲストハウス『シャンティクティ』さんにお邪魔してきました。





お話をうかがったのは、シャンティクティ代表『臼井 健二(うすい けんじ)』さん(69)。
ベジタブルジャーニー136件目です^ ^



シャンティクティとは?

ここは標高680メートルぐらいのところにあって、ちょうど信州の真ん中あたり。
森というのは生態系のとても豊かなところで、何もしないと全てが森になろうとする方向に向かいます。
そして人間が色んな事をすると全てが砂漠になろうとする方向へ向かいます。
ギリシャ、ローマ、四大文明は全部砂漠です。
その中で、砂漠にならないような生き方をこれから思考していかなければいけない時代に僕らは来ているような気がするんですね。
僕ら日本人の暮らしを世界中の人がすると、地球が2.5個必要なんです。
アメリカ人の暮らしをすると地球が5個必要なんですよね。
それは自然と第三国を犠牲にしながら成り立っている仕組みの中で、僕らは生きているわけで。
ですから、あちこちで砂漠化が進み、餓えてる人がいるっていうのが今の現状です。
そんな中で、地球1個で暮らすような生き方をこれからしていかないといけないと思うんですよね。
2.5個の暮らしから1個の暮らし。
僕らは「もっと便利に」「もっと沢山」「もっともっと」の『More More教』の信者です。
そろそろMore More教から『足るを知る』(身分相応に満足することを知る)という、そんなところにシフトしていかなければいけない時代に今来ています。
ずっと右肩上がりで来ているんだけども、もう右肩上がりは無理なんだよと、気が付いた世紀なんですよね。
そろそろ降りていく生き方、地球1個で暮らす生き方をしていかなければいけない。
それは農業もそうだし、物質的な事もそうだし、色んなことについて言える事だと思います。

こちらを見ると、屋根に緑が乗っています。



失われた『緑』を復元しようと、そんな生き方と、断熱効果を高めようなんていう生き方なんですね。



この漆喰が塗ってある入り口なんだけども、その中には土が塗られてまして、その中には童話「3匹の子豚」の中で、1番評価の低かった物(藁)で出来ています。
藁は1番評価が低いわけです。
でもその藁に土が重なり、そして漆喰を塗らう事によって、藁には無い特徴が生まれるんですね。
その『繋がり』が大事だよ、という入り口の玄関なんです。



分断して競争させて、そこにマーケットを置くというのが資本主義の生き方です。
だから細分化すればするほど効率が良くなります。
でも人間って『多様』に出来ているんですぐに嫌になっちゃう。
違う事してみたいなぁ、あれもこれもしてみたいなぁってなるのが普通人間なんです。
ですからもう少し多様に僕らが生きれる、そんな生き方をしていかないといけないと思うんですよね。
分断して競争させる資本主義の生き方から、『融合して1つになる』ような生き方。
そんな生き方を思考しなければいけないですね。
その話を例えて言うならば、屋根の瓦を20世紀は『縦』に重ねた時代なんです。
1番高いのが良い、クラスで1番、会社で1番、世界で1番、どれも1番が凄く評価されるんですね。
でもその屋根の瓦には1人しか憩えないんです。
他は全て雨に濡れる敗者なんですね。
屋根の瓦は縦に重ねるんではなく、『横』に重ねて面というUnity(繋がり)を作る事が本当はとても大事です。
そうすると、沢山の人が屋根の下で憩うことが出来るんですね。
いま社会は、縦型から横型に変わろうとしています。
ダーウィンの弱肉強食のピラミッドの世界から、今西 錦司さんのように弱者も住めるという『棲み分け論』の時代。
ビルゲイツに代表されるアメリカンドリームの生き方、全てのソース(情報)をひた隠しにし、それをお金に替えるという生き方から、全てのソースを解放して、それを全て使ってもらうという、いわゆるリナックスの考え方に、いま社会は変わりつつあります。
そして使ってもらう事が自分達の喜び、色んなものを分かち合うというね。
自然界は全てそうなっています。
抱え込むのは人間界だけです。
今までが『分けた』時代、これから『合う』時代。
分けて、合う、『分かち合う』という完成の時代を迎えております。
だからこれからは面白い時代です。
日本という国は富士山に代表される象徴は『富士(不二)』です。
富士というのは二つにあらずと書いて不二なんです、1つだよとそんな意味合いです。 『日本』という国は『大きく和する国』。
大きく和する国、それが日本、『大和』という国ですね。
そんな意味で、家なんかも畑だとか、建物だとか、台所だとか分けていたものを、みんな小さくまとめて、小さな暮らしの中で、『無駄のない生き方』をしていこうというのが、ここシャンティクティの最終な目標です。
「One earth One Love」1つの地球で生きていこうというね。
それは無駄を廃した関連性を切るインプット、アウトプットが一直線ではなくて、循環するような暮らし。
インプット、アウトプットが周り巡り、そして余剰物をみんなで分かち合うというそんな暮らしをこれからして生きたいなぁって事で今ここをやっています。

ここは形ある物は売らず、宿泊という形で『意識』を伝えるという生き方だから、腐るものは一切ない。
作物も自分のところで種を蒔いて育てて、そこで食べる物を商品にしようっていうんじゃなく、それを加工して、安全な物を安心して食べて貰うという、そういう意味では色んな物が分断して競争する生き方から、融合して1つになるという、そういうのを『宿』という形を通じてお伝えする場ですね。



食べれる庭・パーマカルチャーについて。

1970年代、オーストラリアでは大開発が進んだんですね。
森が切り開かれて牧場や農場が出来て、反対運動があちこちで起こります。
でも反対運動っていうのは対立を生むだけで何も解決しないんですね。
反対運動よりも、心地良い暮らしを提言しようとして生まれたのが『パーマカルチャー』という考え方です。
permanent=持続可能な agriculture=農業。
持続可能な農的暮らしのデザインとして体系付けられました。
今ではそんなパーマカルチャーの暮らしに則って暮らしていこうという人が日本でもかなり増えてきましたけれども、何となくパーマカルチャーっていうと横文字で外国の考えのように思いがちですけど、ルーツはアジアにあるんですね。



1900年代、アメリカは大開発が進んで、巨大な牧場で化学肥料や農薬を使用する農場が多かった中で、どうしても土砂流出や暴風で土が飛ばされたり、どうしよもなく持続可能では無いという事を、土壌学者のキングという人が感じていたんですね。
世界でもっと持続可能な農業をやっている所はないかという事で、世界を旅するわけです。
そして出会ったのがアジアなんですね。
アジア4000年の歴史パーマネントアグリカルチャーという本を書きます。
1900年代の初頭です。
それをもう少し解りやすくまとめてデザイン化したのが、ビル・モリソンとデビット・ホルムグレンというオーストラリアの人達なんですね。
それでパーマカルチャーという本が生まれた。
ですからルーツはアジアにあります、そして日本の里山文化でもあります。
ビル・モリソンは「日本のみなさん、パーマカルチャーを通じて日本の文化を再認識してください」と言っているぐらいです。
もう少し僕らはパーマカルチャーを通じて、この里山の文化を見直してみる必要があるのかなという気がしています。



人間はあぁした方が良い、こうした方が良いと、より複雑にして来ています。
『耕す』という行為もそうなんですね。
耕せば耕すほど、良く出来ます。
でもそれは一時的なんです。
自然界に耕す行為はないです。
むしろ、これもしなくて良かったんではないか、あれもしなくて良かったんではないか、という逆の方向性をこれから思考していく時代に来ています。
自然界は耕さないと有機質がそこにちゃんと有りまして、根が縦横無尽に生えて、根穴構造というものを作ります。
その根穴構造が、微生物、小動物によって分解されて腐蝕というものが生まれるんですね。
腐蝕はマイナスの電気を生み、土の栄養素がくっ付いて来る。
ですから、耕さなければ耕さないほど大地は、より豊潤に豊かになっていきます。
そこに微生物、小動物、ミミズなんかも住める環境も生まれる。
それを耕してしまうと、有機質はあっという間に分解されるんだけども、微生物、小動物の生きられない世界がうまれる。
団地にブルトーザーで突っ込んで来るようなものですね。
ですから土手だとか森も耕しません。
それが本来の自然の姿です。
それをもう少し見直してみよう、というのが『自然農法』の考え方です。



究極なのが「わら一本の革命」を書いた福岡正信さん。
これはまさに『神の農法』です。
神の農法なので、なかなか人間はついていけませんけども、もう少し人間界に降りて来ると、自然農の川口由一という人がいます。
さらにもう少し降りて来ると、岡田茂吉という人がいます。
ヨーロッパの三圃式農業のような、そんな生き方で「良い人をつくるには、良い土地がなければいけない」「良い土地を作るには、良い食べ物がなくてはいけない」というような形でやってます。
炭素循環農法だとか、あるいは森林農法だとか、色んな農法が日本から生まれてて、世界に誇れる農業を持っているのが日本です。









シャンティクティはどんな農法で作物を?

川口由一さんの自然農をベースにはしてるけど、でもそれだけではないし。
福岡正信さんの考えもあるし、岡田茂吉さんの考えも、炭素循環農法の考えも、森林農法的な考えもあるし、最終的にはそれらを全て融合するようなパーマカルチャー的な生き方でもあるのでね。
農法っていうのは分ける事で分別だから、思考としてはそれらを融合していこう、1つになろうという梵我一如(ぼんがいちにょ)というそんなところに僕自身は来てるから、本当は名前がない方が良いんじゃないかなぁと思いつつ、まぁぐうたら農法だね(笑)







シャンティクティは臼井さんにとって理想郷に近い形で作れてるんですか?

理想郷でもないけどさ。
だって私と女房が居れば、男と女で上手く行かないしさぁ(笑)
上手くいかないから努力をする、その『プロセス』が大事で。
それが要するに生きてるってことだから、全てが理想郷が良いとは僕は思わないし、100点を目指して60点で良しとすべし、トータルで150点とあれっていうそんな気持ちでいるんだよね。



臼井さんの今に至るまでの人生とは?

長野県穂高町で生まれて、大学卒業して商社に1年半ぐらい勤めたかな。
でも都会の暮らし、自分で作り出していない物を販売して、伝票を右から左に動かすだけでお金になるっていう事にも違和感を感じてね。
それで山小屋で5年間くらい暮らしてて。
人気のない山小屋で、穂高町でやってる山小屋だから、まぁ山に行くなんてのはだいたい問題児が行くんだよね(笑)
でも僕は山が好きで、旅も好きだったから山小屋を希望して入れて貰ったんだけども。
最初3500人ぐらいの山小屋が、毎年1000人ぐらいづつ宿泊人数が増えて、最後には6500人ぐらいになったかな。
いつも来た人に、まずお茶を出して。
山小屋ですぐお茶が出るなんて所はないわけでね、それだけでみんな心がほんわかとするわけだよね。
後の運営はそれだけでとても上手くいくような感じでね。
夜、みんなで集まって、スライドを交えながら明日のコース、天気の事、注意点なんかも話ながら、人生を語り、旅を語り、山を語り、そんな事を山小屋でしていてね。
一緒に写真を撮って、それを年賀状で全部出していた。
そうするとね、年間3000〜4000枚年賀状を送るでしょ、返事はね9割9分来るんだよね。
穂高町の町長よりも私のところに来る年賀状の方が多くて。
まぁ5年間くらい山小屋で小屋番していたんだけど、自分の想い描いた宿をやりたいなって事でシャロムヒュッテを造ったんだよね。
大工1人に馬鹿8人っていって、大工さん1人に手が8人ぐらい居るとね、大工さんは大工として働ける。
そんな経緯で3年くらい掛かってシャロムを作ったんだけども。
お金も無く、みんなから5万円ずつ出して貰って2500万円くらい集めたのかな。
それを資金に、あと自己資金と銀行の借り入れで、妥協せずに割としっかりした建物が出来たんだけどもね。
それでシャロムを20年ぐらいやってたんだけども、なんとなく都会人相手だけで、地元の人との繋がりがないから、じゃあレストランと喫茶をやろうかってオーガニックのレストランと喫茶を2000年に始めたんだよね。
で、しばらくやっていたんだけど、私自身はある程度いろんなものが形になったし、後は若い連中に任せてやれば良いかなってことでね。
で、今に至ってます。





シャンティクティの歴史としてはいつ頃から?

12年前(2006年〜)からこっちに移ってるね。
私はシャロムに関わりは持ちつついたんだけど、7年ぐらいシャロムは若い連中が運営をやっていて、完全に離れたのが今年からだから、ようやく肩の荷もおりて。

シャロムヒュッテの「シャロム」はヘブライ語って事でしたけど。

ヘブライ語で「平安がありますように」って意味でね。
最終的に人間の求めているところはきっとそこだと思うの。
でも、そこにみんな行き着けない。
行き着けないから、良いんだよ。
それを目標に、神の世界を目指すのであって。
陰と陽がある、それが相対界という僕らの世界であって、だからお互い補い、活かし合う事ができる。
最終的には神の世界には行き着く事は出来ないわけ。
でも、それを目指して『プロセスを生きる』という事がとても大事な事だと思うけどね。

最終的には、人間の目標は幸せに生きる事であると思う。
ジョンレノンなんかは、国が無い、あなたと私の分別がないという事を想像してごらんって歌うわけだよね。
それは決して難しいことではない。
個別の宗教も殺し合うって事も必要ない。
全ての人達が平和に暮らしてるという事を想像しよう。
でもそれは夢かもしれない。
でもその夢を見ている仲間が居るんだ、さぁ手を取り合いながらEarth one1つになろう。
それが仏教でいうところの梵我一如(ぼんがいちにょ)という事でもあるし、2つに別れたものが1つになる、それが神の世界。
ガンジーは銃を突きつけられ、奴隷になるか、武器を持って闘うかって時に、その両者も選ばない、第三の道を選ぶ。
それが無抵抗不服従。
福岡正信は、東洋だ、西洋だ、ではなくて、第三の道、それが神の道。
キング牧師も同じ、黒人の子供達も白人の子供達も、同じ教室で学べるように。
イスラムの詩人ルーミーは、現悪を超えた草原で逢いたいと歌います。
だから1つになるという事は素晴らしい事で、男と女が抱き合う事は最高の事なんだよ。
全てを忘れて裸でいれるっていうのは素晴らしい世界でさ。
結果ではなく『プロセス』が大事。
執着をしない、そして今、ここを生きる。
過去や未来を煩うんではなくてね。



最後に、臼井さんのこだわりとは。

こだわりは無い。
こだわって、こだわって、捉われなくなった時に初めて幸せがやってくると、僕は思う。
若いうちはこだわりばっかりだったよ僕は。
だからみんなに生きにくいって言われたとは思うんだけど、でもそれは「真・善・美」そして世の中が成り立つわけ。
それがちょっとズレるだけでバランスが崩れるしね。
だから、最終的にはこだわって、こだわって、捉われなくなる。
それが良いんじゃないかなぁっと思いつつ、なかなかこだわりも捨てられず、生きてるわけ(笑)









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