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〜三つ星の農業〜三原ノ巻

ベジタブルジャーニー38県目、広島県に入りました^ ^
向かったのは広島県『三原市』。
国内のトップクラスのレストランや、世界中のシェフが注目している、広島発のハーブ農園。
無農薬・有機農家『梶谷農園』さんへお邪魔しました。



今から約42年前、東京農業大学を出ている両親が始めた梶谷農園。
シェフが使う食用花や葉野菜(ハーブ)が必要ということを多くの農家が知らない当時、パイオニア的に日本で始めたハーブ農園。
高級フレンチやイタリアンの皿で、盛り付けに必要なハーブをシェフの要望通りミリ単位で対応し、多くのシェフの期待に応え続けた。
その噂は裾野を広げ、日本を代表する有名レストランはもちろん、海外からもシェフが訪れるほどに。
現在、契約レストランは約150軒。

梶谷農園のホームページを見ると、
「梶谷農園社長は日本語が話せないので、現在、新規の視察、取材、お問い合わせ電話、新規取引をお断りしております。ご了承ください」
と記載してある。
もちろんこれは梶谷氏なりのジョークではあるが、無理に取引先を増やしたりしない堅実さとユニークさが現れた表現でもある。

『農業では稼げない』という日本のイメージを払拭するかのように、大きな土地も必要とせず、ハウス35棟(約6反)で年商6000万円を稼ぎ出す現在の梶谷農園。
希少なハーブや野菜の種を海外から取り寄せ、珍しいハーブを栽培している梶谷農園は国内外に名が響き、もはやハーブは梶谷農園の独占市場だ。





農業が長く続かない理由として、利益を出せない他にも、身体を壊すという理由がある。
代表の梶谷氏は農業に効率良く、長く従事できるようにと、立ったまま管理出来るよう工夫されている。



「面白い物もあるんですよ」と取り出したのは『オイスターリーフ』。
見た目は植物なのだが、食べて驚いた。
その名の通り、海にある『牡蠣』の味がはっきりとするのだ。
ハーブと一言に言っても品種は多岐に渡り、植物そのものが味を表現してくれる奥深い世界がそこにはあった。



お話をうかがったのは梶谷農園2代目『梶谷 譲(かじや ゆずる)』さん(39)。
ベジタブルジャーニー130件目の農家さんです^ ^



農法って聞かれると何て答えますか?

儲かる農法ですね(笑)
農業ってサステナブル(持続可能)って言うじゃないですか、それ1番必要なのって、やっぱりちゃんとした収入が必要なんですよ。
ビジネスをするっていうのはお金を儲ける事なので、そういうのを凄く大切にしてて。
そうすると旅行も行けるし、もっと色んな事も学べるし、楽しそうにも見えるじゃないですか。
だから僕はそこを中心に考えてます。
お金を儲けるにはどうしたらいいかって考えたら、高級レストランに卸したら1番いい。
高級レストランは1人数万円っていう世界なので、(ハーブを)50円100円値上げしても何も言わないけど、普通のスーパーでそんな事したら死活問題だぁって感じで大変な事になるけど、高級店は誰も値切ってこないし、なんならもっと上げても良いよぐらいな。
そうするとうちの従業員も潤うし、今なんて最高時給1500円。
そうしたら辞めないし、楽しいし、これを学んだら私たちも小規模でどこでも農業出来る!っていうのをウリにしております。

勤務時間などは?

僕は1日7時間労働で、土日祝日休みで1月2月は休んでます。
ちゃんとしたビジネスにしたいので無理したらその分どこかで大変になるし、7時間労働なら朝起きた時に「よっしゃ今日もやったるぅ」みたいな感じで、エナジーが必要なので。
しかも夕方4時に宅急便の人が来るから、それまでに準備しないといけないので。
僕の性格でダラダラするのが大嫌いなんですよ。
うちの場合は宅急便の人が来る4時までにお昼の1時間休憩以外は休み無しで、みんなでぶっ飛ばして、終わったら終了。
金曜日も注文分やったら終わりにしたら、毎週プレミアムフライデーですよ。
みんな凄い頑張って、そういう時に新しいアイデアが生まれたりとか。
『効率』を良くして、みんなでもっと儲けて、もっと休んでっていう風に。
せっかち野郎なんで(笑)



梶谷さんの生い立ちは?

生まれがココの田舎で、父親が色んな種類の野菜やってて、料理人の人が来てドライのハーブしかないからフレッシュ(生花)やってくれって言われて。
僕が小学校3年生の頃に、お父さんと一緒にハーブを学びに色んな農家を巡って、夜にはそのハーブを卸してるレストランに食べに行ったりとかして。
3年生の頃からずっとミシュランの三つ星とか父と一緒に巡っていてね。
それで父が帰って、日本でハーブ農園を始めて爆発(急激に人気)して、中学校1年生からカナダに留学して。
それから父親が交通事故に遭ったんですよ。
交通事故に遭って農業が出来なくなって、余命8年。
何したい?って聞いたら、「死ぬ前に世界中の物食いたい」って。
父が食べたいって言うので、世界ベストレストランっていう1位から100位ぐらいのサイトがあって、1番の所へ行こうやって。
それがスペインだったんです。
スペイン行って、昼はそこに卸してる農家へ行って、夜はレストランに食べに行くみたいな感じで、ニューヨーク、パリ、オーストラリア、スペイン、イタリアと世界中お父さんと旅行して。
そしたら父親に洗脳されて「農業めちゃくちゃカッコいいやん」って。
レストランに卸してる農家って儲かってるから、みんな半日仕事して、半日サーフィンしたりとか面白い人がたくさん居て。
旅行いけたり経済的にも上手くいってるんで「お父さん、あんな風になりたい!」って言ったら、
父親の一言、「お前には無理だ」って。
「お前はただ楽しんでやってるだけだからお前に農業なんて出来ない」って言われて。
そのかわり、カナダに凄く優秀な学校があって、年間10人しか入れない世界中から集まる、北米の植物界で1番みたいな凄く厳しい学校があって。
そこで3年間勉強したらお前も一流になれると思うから、そこの学校パパが裏口で入れてやるってお父さんのコネで入って(笑)
そこで3年間みっちり勉強して。
そしたらお父さんに「今のお前なら出来ると思う」って言われて帰って来てやれみたいな感じで。



それで帰って来て、ずっと海外に居たから売り先とかも解らなくて。
お父さんの知り合いがパリで料理人やってて、誰か日本人でいない?って聞いたら「うちのキッチン日本人たくさんおるわ」って、その人達を紹介してよって。
で、日本帰って来て、紹介してくれたんで野菜送ります、欲しい物あったら何でもやりますからって言ったら、そんな農家探してたんだよみたいな感じで。
それが1年目の話で、2年目に東京ミシュランガイドが初版で出て、紹介してくれて卸してたレストランが全員三つ星獲ったんですよ。
2年目からトップシェフがみんな使うこの人達の共通点は何?みたいな感じで、みんなうちの農園を使っているって感じで、色んなレストランがみんなくれくれって。
さっきも話した1月2月の休みで旅行いったりして、新ネタを持って帰って来て。
料理人にとって新しい食材って1番簡単なんですよ。
詩を書くじゃないですけど、食材が多ければ多いほど綺麗な詩になるんです。
今までの水菜とか、そんなのではやっぱり彼らはダメなんですよ。
そこで変わった食材が欲しい、けど時間がない、農家がどこに居るかわからない。
けど僕は旅行いってネタを取ってきて栽培して、こういうのがありますって。
だから偶然というか、僕も旅行が大好きで、食う事が大好きなんですよ。
それで植物が大好きなんでこの3つがセットになってマッチしたんですね。
そしたらめちゃくちゃ楽しいし、料理人も欲しい物が手に入るし。

よく、何で梶谷さんみたいな農家って居ないんですか?って言われるんですけど、まず料理界の事を知らなきゃいけない。
栽培技術がないといけない。
英語が喋れないといけない。
食いしん坊じゃないといけない、とかそう考えたらみんなが出来る事でもないんだなと思って。
ちょうど色んな事がフィットして、自分では普通だと思っていた事が普通じゃなかったのかなと思って。
本当、お父さんにありがとうございますって感謝です。





お父さんの代からシェフに卸していたんですか?

いや違います、父の頃は市場に卸して、市場から日本中のレストランへ行くっていう感じだったんです。
8割が市場で、2割が直送。
僕が帰ってきてそれを逆にして8割直送、2割市場。
っていうのも市場に卸したらどこに行ってるかわからないじゃないですか。
朝起きて今日もやったるわ、みたいなのってやっぱり美味しいとか、良かったよ、健康になったよっていうのでやる気になるのに、その1番大切な所を人に任せて馬鹿じゃないの?と思って。
人がどう思ってるかって1番大切なのにそこを知りたかったんで僕は直送に。
料理長がちゃんと僕に連絡をくれて、今回の良かったよダメだったよ、じゃあどうしたらいいかってやると直なので、「こういうのが欲しいんだ」、「このお店はこういう感じなんだ」みたいに今は150軒とやってて、全部料理長と友達なので、全て特注で出来るんですよ。
欲しい物が解って、お客さんに美味しかったよとか言われたらやる気になるじゃないですか。
なので、直の方が絶対的にやり甲斐はありますよ。
人が食べてどう思っているかって大切じゃないですか。
常に進化していかないといけないけど、作っているものをどう思ってるか解らなかったら何の為にやってるんだろうって思うので。





前まではハーブを乗っけてる(お皿に)意味がなくて、ただ可愛いから乗っけてたんですけど、もしそれに香りや酸味がちゃんとあればみんな使ってくれるので。
世界中でブームがあって、前まではスペインが1番だったんですけど、その後コペンハーゲン、これからはオーストラリアとかあっちの方がファッションとしての流行りがあって、その流行りが日本に来るまでに数年掛かるんですよ。
数年後にブーム来るとき、北欧のスタイルを真似したい時に、北欧って酸味が命なんですよ。
その酸味は日本にはないんです。
そこで僕は先に北欧へ行って、集めてきて、北欧ブームが来た時に全部ありますと。
だから料理人より僕の方が詳しいです。
でも料理人も僕みたいなオタクが居てありがたいですよ、欲しい物がすぐ手に入って。
前までは、北欧に行って種を貰って、その種を農家の人に栽培してくださいって持って行き、農家の人もわけのわからん植物だから「あれダメだった」みたいに。
それが日本にすでにありますよって状態にしといたら、すぐに買いますよって。
僕、農業学校じゃなくて植物関係の学校だったんですけど、植物の良さは世界中一緒で学名を使うんですよ。
ヒマワリって言っても世界中違う言い方でヒマワリはあるけど、学名は世界中一緒なのでその種がどこにあるかがすぐ分かるんです。
そういう点は良かったなと思っています。

梶谷さんは趣味ってありますか?

本を読むのが趣味なんですよ。
異常に読むんです。
今はこんな感じですけど、子供達に家ではビール飲みながら本読んでる暗いおじさんって言われるんです(笑)
料理本だったり、食べる事が好きなので。
大好きなんですよ(笑)

僕、意外と福岡正信さんの『わら一本の革命』を見て農業やりたいと思ったんですよ。
っていうのも福岡さんを知らなくて、海外に農業を見に行って「何で日本人のお前がこんな所へ来てる?
お前は福岡を知らないのか?
世界の反対に来る前に俺だったらまず福岡さんに逢いに行く」って。
パリに行っても「福岡知ってる?」
ニューヨーク行ったら「このやり方は福岡さんから学んでるんだよ」
カナダ行ったら「福岡さんの所で2年間修行した」って人も居たりして。
これはヤバイ人がいるなと思ってまずその『わら一本の革命』を読んでみようと思ってみたら、めちゃくちゃオモロイ。
なんやこの人って。
あの本で人生変わった人すげー居ますよ。
福岡さんにも会ったりして1番学んだのが、『自分の土地は自分でしか解らないから、自分で考えて自分のやり方でやれ』みたいな。
自分にはピッタリだと。
どうしても日本人って教科書を見てやるけど、土地によって全部違うじゃないですか。
そんなの教科書は教えてくれないですよ。
自分がちゃんと見て、どう感じて、どうするのかが大切って事は福岡さんから教えてもらって。
それが1番いま上手く行ってる事なんだと思います。
農業本とかは一切読まないし、ただ『自分で観て考えながらやる』っていう。







最後に、梶谷農園のこだわりとは。

こだわり一切ないですね。
もう回転して回しまくって、限られた時間で利益を上げて、従業員も楽しくして、僕も楽しくするようにするっていう。
農業が好きというよりビジネスが好きなんですよね、これを改良したらもっと効率化するんじゃないかとか。
農業の雑誌とかも見ないし、農業の友達も居ないし、その代わりクレイジーな職業の人達とたくさん繋がったりとかして。
僕の友達で投資家やってる35歳の奴がいるんですけど、去年のボーナス10億ですよ(笑)
それでも「幸せじゃないんだよ」って言ってた。
お前は農業でいいよなって。
そういうのを考えたら農業ってなんか凄い面白いなって思う。

このやり方を学べば、世界中どこでも夫婦2人で1000万儲けれるよって言ったらみんなやろうかなってなるじゃないですか。
こいつ嘘かもしれないけど試しにやってみたら何か出来そうな気がするなっていうのが、うちのウリというかそんな感じです。





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