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〜菌の世界〜佐世保ノ巻

次に向かったのは、長崎県北部地方にある『佐世保市』。
県庁所在地ではない「非県都」としては比較的大きな規模を持つ都市であり、日本最大級のテーマパークであるハウステンボスに代表される観光都市でもある。
伺ったのは、いくつもの有機的農法で元気野菜を育てる『菌ちゃんふぁーむ』さん。



お話をうかがったのは菌ちゃんふぁーむ代表『吉田 俊道(よしだとしみち)』さん(58)。
長崎県出身。
1977 九州大学農学部入学
同大学院修士課程修了、農業改良普及員として長崎県に就職。
県職員を退社して、ある想いがあり有機農業に新規参入。
大地といのちの会を結成(代表)
書籍「生ごみ先生のおいしい食育」
「生ごみ先生の元気野菜革命」
「完全版生ごみ先生が教える元気野菜づくり超入門」の著者でもあり、行政と協働して子どもたちにいのちの循環体験や講演活動も行っている。

ベジタブルジャーニー120件目の農家さんです^ ^



農法について。

あのね、俺1つの農法ダメなんですよ。
もともと農業改良普及員だったから、どんな農法がそれぞれどんな特徴があるのか知りたくていくつかやっているんですよ。
メインでやっているのは通常の有機農法で、いわゆる草をたっぷりすき込んで、草で土作りをしてボカシ肥料を追加して野菜を作っていく、これが全体の3割くらい。
あと今どんどん広がっているのが生ゴミを漬けた『漬け物農法』。
今はEM菌を使ってますけどEM菌じゃなくても大丈夫なんですよ、とにかく好きな菌でやることね。
俺EM菌が好きだからやってるけど、嫌いでやったら絶対ダメね。
菌ってやっぱり心があるから「EM菌よろしく!」ぐらい想ってやると本当に凄い事が起きちゃう。
要は、あの樽に漬けて1ヶ月以上密封して完璧にしっかり漬け込むと腐敗がないから、あとはトラクターで耕してマルチャーするだけでOK。



ある程度、収入もないと給料も払わないといけないし、そうなるとこの農法はもう今惚れ込んでいますね。
周りのゴミ(佐世保青果市場)も減るし、とにかく色んな病気が少なくなりますよね。
漬け物は発酵物だから、発酵した物を畑に入れると土着の菌達もみんな発酵型になっちゃうわけ。
EM菌ってただのリーダー菌で、実際には土着菌が動いているんだけど、漬け物を入れるとpHも低いし、発酵しているし、あとは後期発酵分解をやらないとどうしよもないから、全ての日和見菌が発酵型に向くことで腐敗菌が大人しくなっちゃうから結果的に病気はほとんどない。
これがまだ1割くらいで、来年は3割くらいまで広げていく予定。



あと残りは炭素循環農法(たんじゅん農法)ですね。
いわゆる無施肥・無肥料、入れるのは竹や草や籾殻だけ。

農業改良普及員からなぜ生産者側へ?

1つは、もともと好きだったんだよね。小さい時にカボチャ作ったらめちゃくちゃ良いのが出来て、農家の人から褒められた小さい時の言葉がずっと忘れられなくて農業が好きになっちゃって。
それで大学も農学部まで行って、県職員の農業改良普及員になって。
農家の現場を見てたらいよいよやりたくなっちゃって。
もう1つは、農業改良普及員の頃に農家の人達に「どうせなら有機農業が良いんじゃないか」って事で色んな事を勉強して、各地の有機農業者の説明をしてたら農家から言われたの「あんたは公務員やからそんな事を言われると」って。
「あんたはボーナスも貰えるけど俺らは1回失敗したら借金だけ残るとぞ」って言われて、そりゃそうやと。
自分がしたこともない事を無責任に勧めて、農家の所には虫が来て借金だけが残っちゃったわけよ。
その2つの理由で「よし、自分でやろう」と決めて県職員を途中で辞めたのよ。
最初は虫食いだらけだったけどね、だんだん虫も来なくなって来て色んな事が解ってきて。
一応、私も大学出てたから出来れば科学的にこの理由を突き止めることによって全国的に広がるだろうと思っていて、今は色んな大学の先生方と色んな検証実験をしているところなんですよね。
それが出来れば、農水省も振り向いてくれる日が来ると思ってね。



虫の話。

面白いんですけど必ず虫って同じ所ばかり食べるんですよ。
あんまり全体を食べない。
それは色んな考え方があるんだけど、自然界というのは弱った物をみんなで食べるって考えてもイイし。
科学的に言うと、例えば傷をつけると傷口を守らないといけないから一生懸命そこに免疫システムが集中するから、全体からみたら免疫力が弱るわけ。
キャベツで言うとファイトアレキシンって高分子のかさぶたを作るから、色んな栄養やミネラルを使ってしまって、他の綺麗な葉っぱのビタミンやスロフォラファンなどのファイトケミカルに余裕が無くなって作れなくなる。
そうすると虫にとっては食べやすくなる。
虫はビタミンもセルロースもファイトケミカルも消化吸収できないんですよ。
ただ、人間にとってはセルロースもスロフォラファンもビタミンも健康の素なんです。
人間にとって健康の素をキャベツが作るほど虫は食わなくなる、そういう仕組みになってる。



菌ちゃんふぁーむのこだわりとは。

何もないですよ。
特にない。
まぁこだわりと言ったら「菌ちゃんありがとう」やね。
だから菌ちゃんふぁーむって言ってて、全てやってくれてるのは菌ちゃんなんですよ。
菌ちゃんとお野菜達が頑張ってるだけなので、ただ土が良くないとお野菜がいくら頑張ろうと思ってもなかなか無理なので、まず良い菌ちゃんを増やす。
菌ちゃんってもののけ姫を見てるとシシ神なんですよ。
地球上の死を食べて生を創っていく。
科学的に言うと、酸化崩壊した物を食べて抗酸化力の高い成分を作る。
地球上で命を復活させてるのが虫と菌たちなんですよ。
虫と菌たちなんだけど、虫と菌たちは一緒には住めなくて、菌が頑張っている世界では虫達は必要なくなるわけ。
だからこの畑は菌で頑張っている社会だから虫はあんまり居ない。
虫は菌が働けない腐った所に来るから。
でも完璧にはできない、弱ると来るからね。
だからどんな農法であろうと全部菌ちゃん。
ただ働く菌もそれぞれに違って、やり方がそれぞれ違うだけなんですよ。





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〜種への想い〜雲仙ノ巻

ベジタブルジャーニー32県目の長崎県に入りました!

向かったのは長崎県島原半島西部に位置する『雲仙市』。
採種のパイオニアと呼ばれる『種の自然農園』さんにお邪魔して来ました。





書籍「岩崎さんちの種子採り家庭菜園」や「つくる、たべる、昔野菜」の著者でもある『岩崎 政利(いわさきまさとし)』さん(67)にお話を伺ってきました。
ベジタブルジャーニー119件目の農家さんです^ ^



代々農家家系で岩崎さんで4代目。
代々してきた慣行栽培(現代農法)から農業の道へ入り、31歳の時に原因不明の病気に襲われ、数年寝込んでしまい有機農業へ転換。
農法は変成が多々あり、最初は地元の畜産堆肥や樹木の皮の部分を発酵させて作った物(バーク)を使った時期もあり、全く肥料を使わない時期も4〜5年間あったが、それでも作物の成長を観て経済的に継続性が無い為、現在はその中間タイプの畑にマメ科や緑肥を撒き、なるべく循環してあまり外から持ち込まない『小有機』スタイルを継続中。

岩崎さんの農園では種は全て自家採種されているんですか?

全てではないですね。
そこがちょっと誤解されるんですけど、基本的に営農をする中では交配種(F1種)を使った方が生産効率も高いし、経済的にはそっちの方が。
ただ、自然的な農業になると畑に有機物(肥料)が少ない状態で生きる野菜でないと耐えきれず、F1種ほど多肥な作物になってしまう。
F1種に比べて在来種は非常に生命力が強くて、あまり有機物(肥料)は必要としないというか、おのずと在来種を中心にやっていくしかないので、採取は100%という事はないですね。だいたい70%程度です。
営農という面で経済的に見合う在来種が揃わないし、在来種を育てていくには凄く長い年月がかかってしまって最低でも10年は必要。
馴染ませて自分の物にするには10年以上は付き合っていかないと活かせる作物にはならないので凄く手間と時間を要する事だから、そういう意味では新しい農家に対して種の価値を伝えていくのは非常に難しい。
だからF1種を否定するわけにはいかないし、否定するって事は経済を失うという非常に難しい問題があるんですよね。

在来種を求める流通が豊かになれば農家も在来種を守っていけるけど、オーガニックブームとは言え、そこを求める消費者の割合ってもっと低いじゃないですか。
その中で生産と消費のバランスが取れていないというか、手間と時間と生産効率も低いしオーガニック生産物+αがないと在来種のみではなかなか厳しい事がありますね。
本当は全て在来種が理想ですけど、F1種がダメとか交配種がダメとか、否定する必要もないし、そういう種と一緒に共存してその中で在来種も守っていくという。
矛盾しているんですけどね。



ただ言える事は、在来種を守るということはその人が人生を賭けて自分の子供を守っているように『人と種』という関係があるから、作物に対する想いや作物から見えてくる長所や欠点が、人と作物の繋がりという良い関係があるのは事実ですね。
10年・20年あるいは30年と、その作物その種を1番活かせるのは『守っている人』だって。
そういう意味では農民として良い関係ですよね。

また、自分の中では『美味しい』っていうのがキーワードになっていて。
最初の頃はいかにして『安全』なものを作るかだったけど、長年経って来ると安全だけでは果たして農業として、農民として満足感というか継続力というか、やっぱりそこにはどんなに安全であっても美味しくなければ意味がないというか。
食べる人が美味しいって、それが有機農業の根幹だからこそこだわって作るし、そうした時にやっぱり人が在来種を守っていくことが大切だなと。
それがやがて10年・20年その作物がその畑、その風土に馴染んだ時に美味しく表現してくれるっていう、そこに在来種の凄い魅力があって。
F1種は1回きりで次々に買わなきゃいけない、それは表現が出来ないんですよね。
人と作物っていうのは守りながら相手の欠点とか長所を見抜いて、良い所を活かして悪い所をサポートしていく、そこに生まれて来るのが美味しさというか。
そういう意味では凄く、在来種っていうのは価値があるかなって感じがしますよね。



全国各地で失われていく消えゆく野菜、あるいは山奥でひっそりと残っていた野菜とか、あるいは農家が代々守って来た野菜は『想い』があって本当なら地域の中で守っていけたらベストですよね。
全国各地にそういうものが沢山あるわけじゃなくて、本来なら伝統だからその地域だけで守っている種がベストだけども、そうなると無い地域は何も無くなってしまうから、無い所は自分達が作っていこうと。
どんなに人生賭けて守ってきても50年ですよ。50年しか守りきれないですよね。
だいたい20年〜30年が1農家が守る限界で、種をあやす回数は20回〜30回ですよ。
本当は50回種をあやして、次の世代に渡していくっていうことが素敵ですけどそこまではなかなか守りきれないというかそういう種はなかなか無いですよね。
昔、50年くらいやった人の種を握った時に凄く感銘する事が多くて。
やはり50年という1つの人生を賭けて守りきった種というのは凄い価値があるし、それはやっぱり誰かに託さないとその種は無くなってしまう。
そういう価値や想いを次の世代に託しながら伝えていく事が凄く大事かなと思うんですよね。
種だけ託しても繋がっていかないと言うか。
だから種苗交換とか種のネットワークはあまり好きじゃなくて、『人と人を通して種を伝えていく』ことが重要で、そんなにばら撒く必要はないんですよね。
誰か1人でも種を受け継いでいく人が居ればいいんです。
全国に種をばら撒いてもあまり意味がないというか、返って種を守りきった人に申し訳ない、勝手に繁殖してばら撒くのはその人に対して申し訳ない気持ちはありますよね。



岩崎さんにとって種取りとは?

自分の物を作りたいと想う気持ちで地元の『黒田五寸』という人参から始めた事ですけど、その頃は夢があって世界で自分だけの素晴らしい人参を作ろうという発想があったんですけど、結果的に自然はそうは認めなくてそこに『多様性』の大切さを学んだ経緯があって。
そうやって自分の物が出来た時に「これは凄いな」って。
それが1つ2つ増えていっただけなんですよね。
種を採って、その種で作物を作るっていう自分の物で作るっていうのは最高に「作った」って気がしますよね。
じゃあ出来るだけ沢山の野菜を自分の物にして作っていこうっていうただそれだけですよね。
そのうち色んな人から種を託されたり、色んなお土産で外国の生産者から種を戴いたり交換したり。
そうして各地で色んな人達が種を守っている姿を観た時に「これは絶やす事は出来ないな」ということで守った種が沢山あったという。
だから想いを伝えるのは凄く大事かなって。
想いがないと守れない。
絶やした時にはもうこの自然界から消えていくのが在来種の運命ですよね。
僕らが何も気付かずに地域の守られた種をお爺さんやお婆さんが亡くなると同時に消えていったという。
昔食べた美味しい味をもう1回復活したい気持ちはあっても消えてしまったら復活しようにも元がないと。
人は失った時に気付きますよね。
今は遺伝子操作で近い物は作り出せる時代にまで来たと言うけど、全く同じ物は作り出す事は出来ない。
本当は守られた在来種が美味しくて、身体にも良いはずだとは感じてはいますけど、そこはまだハッキリしていないんですよね。
在来種とF1種の人間に対する効果というか。
それももっと未来に評価されるというか、時代も、ハイテク遺伝子組み換えも否定することもしたくないし、そういう生産者になりたくないんですけども、しかし在来種というのは何かがあって生きているというか。
また時代が過ぎた時に在来種の良さを人間が気付く時が来るだろうと。
だから絶対無くしてはいけない。
少数であってもそれを守る人が居なければいけない、ある意味では自分も役目として選ばれた1つの人間として守っていく立場にあるのかなと思って。
単なる種だけど、人を感動させる農業の世界はこんなに素敵だなっていう、やった人が初めて感じる世界ですよね。
それはやっぱり若い世代に伝えて行きたいなと思うし、そこを知らないと種を守っていけないと思うんですよね。



岩崎さんのこだわりとは。

私が有機農業を始めたのは自分の病気の事で始めたんですけど、農法は人間の師匠が居ないんですよ。
有機農業を学ぶ相手が自然というのを1つの師として雑木林を駆け巡ったりする中で、目で見るだけでは本当の事は学べなくて目より心を通して自然を観ようと。
そしてそれを聞いて自分の畑に実践していこうと。
そこには色んな農法の問題があったし、そこには種もあったし。
在来種は風土に合わせて変わっていくのが良さで、今は種の長期貯蔵シードバンクもありますけど、これだけの異常気象の中で何十年間も眠った種が突然復活しても、ほとんど機能しないんですよね。
やはり異常気象に対しては毎年畑の中で、現場で保存しながら種を採っていくのは大事な時期に入ったと思うんですよね。





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