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〜スープと日本酒〜朝来ノ巻

島根県を後にして、2017年のベジタブルジャーニー最後に向かったのは兵庫県『朝来市』。
農薬・肥料を持ち込まない農法でお米を育て、冬は日本酒蔵で日本酒造りに携わっている『ヨリタ農園』さんにお話を伺いに田治米酒造 さんへお邪魔してきました。





お話をうかがったのはヨリタ農園代表『依田 圭司(よりたけいじ)』さん(41)。
東京都八王子市出身で、父の実家は製菓店を営んでいた。
ベジタブルジャーニー125件目は農業と蔵人の二足の草鞋を履く、農家蔵人さんです^ ^



夏場はヨリタ農園として自分で独立してやっているので、冬はこっち(酒蔵)に完全に移行して、出荷(農業)だけは夜にしているんです。
朝はちょっと早くて蔵は早朝5時から始まって、夕方5時まで。
基本的に休みがないもんで、たまにちょっと午後に休ませてもらって農作業をしたりしてるんですけど、もうこの10年ぐらいはそのサイクルで。
農家として独立したのが5年前ぐらい(2012年)なんですけど、一番最初に酒蔵でお世話になった(2008年)のは鳥取の蔵なんですよ。
鳥取の蔵に1年居て、その蔵にお米を出荷しているオーガニックの農家さんの所でちょっと勉強させてもらって、それから蔵を移って滋賀の蔵へ。
滋賀の蔵に酒米を出荷している農家さんもオーガニックだったんですけど、結構大きめにやってる農家さんで、そこでお世話になりながら、冬場は酒蔵。
そんな、夏は田んぼで冬は蔵、という生活をトータルで5年やったうえで、独立しよう と思って農家的に独立して、で今はこの蔵(田治米酒造)にお世話になってる感じです。

ほんまの当初は酒蔵で働きたくて。
オーガニック素材を最初に志向したというよりも、ある蔵のお酒で特徴的な味わいに出会って、『あ、これおもろいな』と思ったらそのお酒の材料がオーガニックで。
だから農家からじゃなく、お酒の味からこの世界に入って来たんですね。
今は二本柱でやってて、酒米も作ってるし、販売用(飯米)もちょっとなんですけど作っています。

依田さん独自のお酒もあるんですか?

あるんですよ。
これは自然栽培1年目のお米で、初めて天日干しで乾燥してみて(二年目からは機械乾燥)。
夏場に作ったお米を冬にお世話になる蔵でも扱わせてもらってるという。
蔵の仕組みは、杜氏さんっていう統括マネージャーみたいな人がいて、その下で担当が分かれて皆で造るっていう形で、僕も蔵人として杜氏さんの下で酵母とかを培養する仕事をしています。



依田さんの職種とは?

蔵人でもあるし、農家でもあるという。農家蔵人ですね。
蔵人は夏場って基本的に仕事がないもんで。
もともと、この冬は酒蔵、夏は別の仕事というスタイルっていうのは、この辺(但馬地方)で昔から多かった出稼ぎ労働者の人たちの流れを汲んでいて、冬に雪が沢山降る地域では仕事ができなくなるので、山にいる牛飼いだったり、田んぼやってる人とか、そういういろんな技術者が冬に蔵に来て働くという流れが元々あったんですね。
いまは社員として年間雇用して夏は農業、冬は酒蔵っていう会社もあります。

米の農法について。

自然栽培で、一応何も入れてないで、土だけ発酵の方法にもっていきたいという模索をずっとしてて。
昨年ぐらいから緑肥の導入を少し考えつつ、来年から緑肥を作って、土自体の質をもうちょっとあげたいなという方向で今は動いています。
滋賀の時にお世話になっていた農家さんが、米ぬかなどを発酵させたボカシっぽいやつを土にいれるみたいな事をやっていたので、最初は入れようかなって思っていたんですが、ここ(朝来市)に来た時に誘ってくれた子が、たまたま自然栽培をやってて、じゃあやってみようかなぐらいの軽い気持ちで初めてみて、今、現実を見てるって感じですね。
やっぱ収量が下がってくるので土質と農法のせめぎ合いがあって、去年ぐらいからちょっとテストでいろんな事を試してをいて、来年からは緑肥を作ることで、微生物を増やしつつ有機物を還元させて土の環境を整えていくっていう方向に今は考えが移っています。

種について。

自家採取が基本。
100%自家採取なんですけど、酒米に関しては、みなさんおっしゃるんですけどのお米の形質の変化とともにお酒の味わいも変わってくるんですよ。
なので、5〜6年スパンで替えていかないと、例えば造るものがあって求められている味があるのに、それと極端に違うものが出来てしまうと、名前(銘柄)と一致しなくなってくるので。
それでもいいという蔵もあるんですけど、酒米に関しては、あまり味と方向性が変わってくると良くない(品種の特性を大切にしたい)と私は思っているので、来年は更新しようと思っています。



ラーメンスープからフランス料理、日本酒、そして農家になる理由。

生まれは町田。
父親の転勤で八王子に移って、八王子で小中高と行ったあと、大阪の大学に行ってから、大学のjazz研でドラムにはまっていた事もあって。
その頃、たまたま入ったラーメン屋でjazzが流れてて、手仕事でやってるし、ラーメン美味しいしっていうことで働き始めたら、スープを任される様になって。
素材を煮込んで、水と油を乳化させてというのにハマって。
スープって水によっても味わいが変わってくるんですよ。夏と冬では同じ場所の水でも味が違ったり。
夏は豚が痩せるとか、そういうのでも味がちゃうんのか〜面白いなと思って。それで結構ハマって。

そしたら行き詰まる時があって。
スープの事をもうちょっと突き詰めてやりたいなとか思ってた時に、店を出て何かやろうと思ってフランス料理のレストランの方へ。
そうしたら、料理屋さん独特の雰囲気もあって、自分はついていけなかったんです。その時に挫折して、もう一回改めて、自分は何がしたいのかって考えていたら、やっぱりスープが自分としては面白かったなってなって。
私が働いていたラーメン屋さんのスープは、豚骨スープをすごくシンプルに骨と水だけでつくるっていうのがベースで、醤油とか最終的にはかかるんですけど、その時の作り方が3回に分けていたんですよ。
はじめにたくさんの豚の頭の骨と水を大鍋に入れて、それを火にかけて灰汁抜きをして水を抜いて、それから骨を蒸して更に灰汁を取って、骨を柔らかくして。
それから水を張って沸かしてというのを時間を決めて1・2・3とやって。
2時間やったら2時間分濃縮されたやつを採って、また水を入れてというのを3回やって最後に混ぜるっていう形だったんですよね。
『3回』というのが自分の中で面白くて、このことを思い出していた時に、日本酒の本を見てみたら三段仕込みっていうのがあって、3回だったんですよ。
これスープの原点というか、これ日本酒からきてるなぁと思って。
しかも、豚骨みたいに、豚を自分で育てるのはハードルが高くて難しいですけど、お米だったら自分で作って、そのルートから全部見れるなと。
じゃぁ、日本酒は面白いなとなって酒蔵に入ってみたら、ガッとハマッたみたいな。
『3』という数字が今でも僕の中にあって。
蔵人生活を始めた頃、大きな蔵に見学に行くことがあって、その時に同年代の人に、そういうスープがあって3という数字でどうのこうのって言ったら、それはないわ〜って言われたこともあったけど、でもやっぱり3が気になってて。
だからスープと日本酒というのは未だに自分の中では近いんですよ。
どっかで繋がるんじゃないかなって今でも思っていて。
それが自分のお酒つくりに対するモチベーションというか面白さに今でもなっている。
ラーメン屋から離れて、どうやって蔵に入るのか全く解らなかったんですけど、ボラバイトで福井に農家体験に行ったことがあって、そこでお世話になった農家さんに知り合いの蔵があるからそこに行くかって言われて、酒蔵に行きました。その時に初めて蔵の社長と直接、話をする事が出来て、それを取っ掛かりにして輪島の方に行って、蔵を見させてくださいと。
そしたら蔵の社長と話すのが楽しくなってきて、その次は山形の有機農家のところでお世話になって、その近くの山形の酒蔵の社長と話しているうちにお酒つくりは結構おもろいなっていうのがもっともっと湧いてきたというか。
農家体験というのもやっていたんですけど、日本酒という面白い存在があって、そこから農家になろうっていう気持ちになっていきましたね。



飲食生産業界で働く理由とは。

なんでですかね(笑)
たぶん、父の実家がお菓子屋さん(今は廃業しています)だったということに対する憧れだったんでしょうかね。
小っちゃい頃から食べ物にこだわっていたという訳じゃないけど、ヨリタ製菓と書いてあるお菓子を友達に渡すと、「あ、ヨリタ製菓じゃん」ってなるのが嬉しいというのがあって、あの嬉しさというのが、今思えばこの世界に入るきっかけとしては、あるのかなっていうのはおもいますね。

依田さんにとってのお米作りとは?

不思議と舞い込んできた楽しいところ。まだはっきりとした形では見えてこないですけど、なんか楽しい所に来たら結構良くしてくれる人がいっぱい居て、なんか形になっちゃってて。
ある程度、自己満足の世界もあるんだけど、それがちょっとずつ人に伝える喜びってのが湧きはじめてきたっというか。
お米作りは自分の中で、今のすべて みたいな。
将来的にどうなるかわからないけど、今そこにいますよって感じがある。

日本酒とは?

僕は本当に人の縁に恵まれたので、最初に行った鳥取の日本酒蔵の社長さんも未だに声を掛けてくれたりするので、いい人に出会ったっていうきっかけが日本酒だったっていう感じ。
日本酒とは?と言われると、いい人と出会う為に必要だったものっていうか。
それは良かったなと思っています。

蔵では、道具って結構自分で作るんですよ。
手作りの道具は、木を加工して自分達が使い易い様に作るとか。
だから、スタイルとか結構あって、箱一つとっても作り方とかが蔵によって違ったりするのでそれはおもろいですよ。
人の生き方とかそういう感覚が道具とかに落とし込まれてて、つくられた道具を持っているとそういうのを感じるんですよね。
この人、こういうニュアンスでこれを作ったんだなっていうのが。
それは、最初は作ったのが農家だからだと思っていたんです僕は。
だけど、酒蔵に来ていた人の中には農家以外の人でも大工さんとか技術を持ってる人はたくさんいて、その人たちのたくさんの知恵が道具に落とし込められてるっていうのを感じると、結構ワクワクします。「すごいなぁ、なんでこの棒こんな形してるんだろ」とか。この知恵は農家じゃなくてもしかすると漁師さんの知恵なのかなとか結構そういうのを考えると面白いですね。

ヨリタ農園のこだわりとは。

たぶん日本酒を造っている人間がお米つくりにに携わるって何か意味があると思うんですよ。
最初に発酵があるっていう意味で、基本的にお米の自然栽培と自分がやっている日本酒作りって似てる部分もあるから。土壌がちゃんと発酵に向くように土の環境を整えて、その中で酵母や微生物に働いてもらって土を良い状態にもっていって、稲が健康に育ってくるっていう方向は(お米つくりもお酒つくりも)一緒だと思っていて、(酵母を)入れる入れないという違いはあると思うんですけど、基本的には発酵という同じテーマでやってるんで、今はそのテーマというのが色々繋がり始めているんですけどね。
例えばそのテーマの結果が日本酒って形になって、特徴のある味わいが出で来ると嬉しい。
その嬉しさっていうのをなんかまたお米でできないかなっていう還元がうまい事、自分で出来てきたなっていう感触があって。
だから、その発酵っていうテーマをつなげていって、誰かまた体験する人と一緒に、つながっていき続けたいというのがこだわりですね。





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〜手間を楽しむ〜丹波ノ巻

ベジタブルジャーニー23県目の兵庫県に入りました。
南北に長い県域を持ち、近畿地方の府県で最大の面積で北は日本海、南は瀬戸内海の2つの海に接している県。
向かったのは兵庫県の丹波市。
農薬・化学肥料を使わず、肥料も一番搾りの胡麻油搾りカスのみという、有機肥料も必要最低限を貫く無農薬有機栽培農家『ぼちぼち農園』さんにお邪魔してきました。



ぼちぼち農園では季節に合わせた旬の野菜を全て露地栽培する少量多品目スタイル。
野菜の他にも果樹やハーブ、見た目に美しい食用花なども栽培している。
「丹波の黒豆」は全国的にも名高い名産の1つだ。
農園では手作りの石窯でピザやパンを焼いたり収穫祭では人が賑わう行事も展開中。









丹波の黒豆が有名になった理由の1つとしてこの地域では「丹波霧」と言われるくらい朝の霧がもの凄く濃く、「寒暖の差」と霧による「保湿」が豆を良く育てる事で産地となっている。





お話をうかがったのは、ぼちぼち農園代表『潮屋 健太郎(しおやけんたろう)』さんと奥さんの『涼子』さん。
ベジタブルジャーニー94件目の農家さんです^ ^



なぜ無農薬・無化学肥料で栽培を?

良く行ってた天然酵母のパン屋さんが和歌山にあって、そこの人達のこだわりと言うか無理もしていないし、無農薬の良い物使ってランチを提供していたり、食べても美味しいからこういう暮らしもいいなぁって思ったのが大きいと思いますね。
あと農場で勤めた事があって、農薬も使う慣行栽培(現代農法)だったんですけど面白くないんですよ。
それやったらもう草が生えようが自分の手で取った方が面白いし、何も使わん方が面白いと思ったという事ですかね。

一般的には農薬・化学肥料を使った方が収穫量もあるし手間も時間も掛からないと思うんですがそこも面白味と?

例えば種の話になると、F1種って一斉に蒔いて一斉に同じように成長していくのがF1種の良い所で、在来種を使うと成長のマチマチがあったりとか、全然違うのがたまに混じってたりとか。
そういうのもあるので、一般的な市場だと主にF1種を使うから出来の良い物をA品として、B品C品はまるで粗悪な物としての扱いだけど、僕らのやり方だと間引き菜もサラダとして出したり、小さいのを採って大きい物を残す、無駄なくというか最初から最後までずっと採れるのが良いかなと。
よっぽと虫食いだとか、形が悪すぎる物はさすがにお客さんには出さないですけど、キュウリなんかでも曲がってたりとかちょっと傷があったりぐらいはそのまま出させて貰ってます。
こういう作り方をしてますっていうのを理解してくれてはる人がとってくれてるような感じではあるので、そこは有難いですね。



【奥さん】こういうのが届いたら自分達やったら嫌やなって言うのは出さないですし、例えばキュウリに今ヒビが入ったばかりだよっていうような物ならオマケとして入れたりとかしてますね。






なんで農業をやりたいと思ったんですか?

両親が田舎の出で、幼少の頃にそこで遊んでたっていうのが大きいかな。
それが楽しかったんでしょうね。
泥んこになって生き物捕まえたり、自然で戯れたり。
自分でも畑やって、そこに人が来て、そこで遊んで、なんか良いなぁって思って貰えたらイイかなっていうのもキッカケの1つですし、さっき言ったパン屋さんも1つですし、色んな人と会ったりがキッカケになってるのかなと。
1つではないですね。
無理せんとガチガチにならずぼちぼちやっていきたいなと思ってます。

ぼちぼち農園のこだわりとは?

無理せず楽しんでやりたいですね。
後は自分達が食べたい物を作ること。
自分が作って楽しい物を。





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